「三菱の韓国撤退は事実なのか?」という疑問に対する結論から言えば、「三菱自動車は過去に完全撤退したが、三菱重工・三菱電機・三菱商事などの主要グループ企業は現在も韓国で活動を継続している」というのが客観的な事実です。
三菱グループは一枚岩の単一企業ではなく、独立した上場企業群から成る企業集団です。韓国市場における各社の立ち位置は、業種や地政学的リスクの受け方によって明確に分かれています。
まず、一般消費者の記憶に強く残っているのが三菱自動車工業(三菱自)の動向です。同社は2008年に韓国の輸入車市場へ本格参入を果たしたものの、現代自動車(ヒョンデ)や起亜自動車のお膝元である韓国市場においてシェア獲得に苦戦しました。競合他社との価格競争やブランド認知の壁に阻まれ、販売台数は低迷。2013年、当時の現地輸入販売総代理店を通じた事業継続を断念し、2013年に韓国市場からの完全撤退を決定・実行しました。このニュースが後年、「三菱が韓国から撤退した」という大括りの言説の原点となっています。
一方で、BtoB(企業間取引)を主軸とする他の主要各社はまったく異なる動きを見せています。素材・エネルギーを担う三菱商事、産業メカトロニクスや半導体関連機器を供給する三菱電機は、韓国の財閥系巨大企業(サムスン電子、SKハイニックス、LGエレクトロニクスなど)のサプライチェーンに深く組み込まれており、経済合理性に基づいた事業展開を崩していません。