メディアによるネガティブな報道が続いたにもかかわらず、なぜスノーボードコミュニティにおいて国母氏の存在は失墜しなかったのでしょうか。その理由は、現場にいるトップライダーたちへの圧倒的なリスペクトと、彼の技術・哲学の継承にあります。
その筆頭が、2026年北京五輪ハーフパイプ金メダリストの平野歩夢選手です。平野選手は幼少期から国母氏を「兄のように慕い、最も尊敬するスノーボーダー」として公言してきました。国母氏は単に技術を教えるだけでなく、アメリカ遠征での生活環境を整え、世界のトッププロが集うセッションに平野選手を招き入れ、世界で戦うメンタリティを叩き込んだメンターでした。
北京五輪で平野選手が人類史上最高難度のルーティンを決めて金メダルを獲得した際、海外の専門メディアやコミュニティでは「カズ(国母和宏)が切り拓いた道の上に、歩夢の金メダルがある」と語られました。弟の平野海祝選手をはじめ、世界で活躍する日本のトップライダーたちの多くが、国母氏の滑りとアティチュードから直接的・間接的な影響を受けています。日本スノーボードの国際競争力を世界トップへと引き上げた真の立役者は国母和宏氏であるという見解は、スノーボード界の共通認識となっています。