物語の主舞台となるのは、業績不振に喘ぐ中堅中学受験塾「桜花ゼミナール吉祥寺校」です。そこに突如として校長として送り込まれたのが、名門進学塾「ルトワック」の元トップ講師・黒木蔵人(柳楽優弥)でした。「中学受験は課金ゲーム」「子供を合格に導くのは父親の経済力と母親の狂気」という過激なテーゼを掲げ、冷徹な合理主義で塾生を偏差値ごとにΩ(オメガ)、A、Rの3クラスへと再編していきます。
この黒木に対峙する良心的なストッパーとして配置されたのが、元公立中学教師で新任講師の佐倉麻衣(井上真央)です。生徒の情操や心情を最優先に考える佐倉は、当初黒木の営利至上主義とも取れる指導法に激しく反発します。しかし、黒木が放つ冷徹な言葉の裏に「小学生という未成熟な子どもたちを誰一人として脱落させない」という深謀遠慮があることを知るにつれ、プロの教育者としての覚悟に目覚めていきます。
さらに物語のサスペンスと葛藤を加速させたのが、超名門塾ルトワックのトップ講師・灰谷純(加藤シゲアキ)の存在です。かつて自らのメンターであった黒木がなぜルトワックを辞め、格落ちの中堅塾へ移籍したのか、そして夜な夜な通い詰める謎の無料塾「スターフィッシュ」の存在を巡り、灰谷は執拗な追跡と対立を繰り返します。桜花ゼミナールの個性豊かな専任講師陣——池田鉄洋演じる現実主義の橘勇作、瀧内公美演じるドライかつ温かい桂歌子、今井隆文演じる木佐祥平らが脇を固め、教室内の熱気と職員室のリアルなパワーバランスが見事なアンサンブルを生み出していました。