生活の利便性を高める目的で設置したはずの風除室が、なぜ日々のストレスの元凶になってしまうのか。リフォーム完了後に施主が頭を抱える代表的な失敗事例を整理すると、計画段階でのリサーチ不足に起因する明確なパターンが浮かび上がる。
現場取材班に寄せられた声の中で最も深刻だったのが、風除室のデメリットとして挙げられる「夏の異常な暑さ」だ。ガラスで囲まれた密閉空間は、直射日光を受けると温室そのものと化す。SNSや住宅相談掲示板には「夏場は玄関を開けた瞬間に熱風が室内に流れ込み、冷房がまったく効かない」「靴箱の中の革靴が熱気と湿気で傷んだ」という切実な声が溢れている。採風ルーバーや換気窓のない固定ガラス仕様を選んだ結果、春先から初秋にかけて開閉すら億劫になるケースが多発しているのだ。
さらに見逃せないのが、毎日の生活動線における「開閉ストレス」と「メンテナンス負荷」である。玄関ドアの前にもう1枚ドアが新設されるため、両手に買い物袋を抱えている際や小さな子どもを連れているときの出入りが極めて煩わしくなる。また、外部に露出するガラス面が一気に倍増するため、砂埃や雨だれによる汚れの拭き掃除、冬場に発生する激しいガラス結露の拭き取り作業に追われ、「こんなことなら付けなければよかった」と嘆く施主も少なくない。
加えて、建物の種別による根本的な勘違いも散見される。特に注意を要するのが玄関ポーチへの風除室後付けにおけるマンションと戸建ての違いだ。戸建て住宅であれば自身の敷地内で構造上の条件をクリアすれば設置可能だが、分譲マンションの玄関ドア外側やアルコーブは、区分所有法上の「共用部分(専用使用権付き共用部分)」に該当する。個人の判断で風除室を後付けすることは管理規約上ほぼ100%不可能であり、無断施工による原状回復命令トラブルに発展するケースも報告されている。