本作の映像美と演出スタイルは、フジテレビジョンと共同テレビジョンの強力なタッグによって生み出された。1990年代の日本のテレビドラマがトレンディドラマ全盛から多様化へと舵を切るなか、映画用の照明設計や陰影を強調したセット、ワンシーン・ワンカットを多用したカメラワークなど、当時のテレビ放送業界の常識を打ち破る革新的な試みが次々と導入された。
制作陣の強いこだわりは、オープニングのモノローグからエンディングの余韻に至るまで徹底されている。黒バックに浮かび上がる古畑の語り、管楽器が印象的な本間勇輔のテーマ曲、劇伴の使い方一つひとつが、ドラマ全体に上質な映画のような気品をもたらした。
昨今の倍速視聴やタイパ重視のコンテンツとは対極にある、贅沢な「間」を慈しむ演出哲学。テレビの黄金期を牽引したクリエイターたちの美学が、画面の隅々にまで息づいている。