感情論やビジネスマナーを離れ、司法の場における「責任」を眺めると、定義は一気に厳密化します。現代社会において個人や法人が問われる法的責任は、大きく分けて「刑事責任」「民事責任」「行政責任」の3体系に分類されます。
ニュースなどで特に混同されやすい刑事責任と民事責任の違いを、分かりやすく対比したものが以下の構図です。
刑事責任:反社会的な犯罪行為(横領、詐欺、過失致死傷など)を犯した者に対し、国家が法秩序を維持するために科すペナルティです。検察官が起訴し、裁判所が有罪と判断すれば懲役・禁錮・罰金などの「刑罰」が科されます。目的は社会正義の実現と再犯防止であり、罰金の納付先も国家であって被害者ではありません。
民事責任:個人間や企業間における権利侵害や契約違反を解消するための責任です。不法行為や債務不履行によって他者に損害を与えた場合、被害者から訴えられた加害者が「損害賠償金の支払い」等によって不利益を金銭的に埋め合わせる義務を負います。目的は被害者の救済と原状回復です。
たとえば、業務上のミスで自社の機密情報を流出させ、他社に損害を与えた場合、故意の不正競争防止法違反などで逮捕されれば刑事責任を問われ、相手企業から多額の被害額を請求されれば民事責任を果たす必要があります。自分が背負うべきリスクがどの法域に属しているのかを正しく見極めるリテラシーが欠かせません。