華やかな復活の裏で、どん底の精神的危機を救った連帯の動きも見逃せません。その中心となったのが、髭男爵の山田ルイ53世が音頭を取って結成された「一発屋会(一発屋オールスターズ)」です。
一発屋会のメンバーには、山田ルイ53世をはじめ、レイザーラモンHG、ムーディ勝山、ジョイマン、天津木村、とにかく明るい安村、スギちゃんなど、錚々たる歴代ブレイク芸人たちが名を連ねています。この集まりは単なる傷の舐め合いではなく、一発屋芸人の再ブレイク事情を切り拓く極めて戦略的な互助コミュニティとして機能しました。
全盛期が過ぎ去った後に訪れる周囲の態度の急変や、「あの人は今」と揶揄される精神的ダメージは、当事者にしか理解できません。彼らは定期的に集い、互いの窮状を笑い飛ばし合うことで、「自分たちは社会的に抹殺されたわけではない」という自己効力感を取り戻していきました。山田ルイ53世によるルポルタージュ『一発屋芸人列伝』が新潮社から刊行され、第24回編集者が選ぶ雑誌記事賞大賞を受賞したことは、彼らの存在を「哀愁漂う消費の犠牲者」から「愛すべき不屈の表現者」へと昇華させる決定打となりました。
自らの転落体験をコンテンツ化し、「一発屋であること」自体を誇り高いブランドへと再定義したことによって、近年では「一発屋オールスターズ」としてのパッケージ出演やCM起用が急増。負の烙印を逆手にとった見事なリポジショニングを成功させています。