この前代未聞の施設を率いるのは、運営母体である有限会社サックスの代表・星野和彦氏である。かつて従来の観光・テーマパーク産業が「安全第一の過保護な展示」へと傾倒していくなか、星野氏は全く逆のベクトルへと舵を切った。動物本来の生態を体感するには、人間側がリスクを受け入れる覚悟が必要だという信念だ。
彼が目指したのは、単に檻の外から眺めるだけの受動的なレジャーではなく、五感を研ぎ澄まさざるを得ない体験型動物園の創出だった。危険を排除し尽くした箱庭では、命の尊さも野生の凄みも伝わらない。星野氏の過激とも取れる設計思想は、徹底した現場主義と動物への深い敬意に裏打ちされている。