事件の背景を読み解く上で避けて通れないのが、全国の神社を統括する包括宗教法人「神社本庁」との深い亀裂です。富岡八幡宮は事件直前の2017年秋に神社本庁を正式に離脱し、単立神社となっていました。この神社本庁離脱の理由には、長子さんの宮司就任をめぐる長年の確執がありました。
富岡八幡宮側は、事実上のトップとして神社を切り盛りしていた長子さんを正式な宮司に任命するよう、神社本庁へ複数回にわたり具申していました。しかし神社本庁側は、理由を明確に開示しないまま何年もの間、宮司任命を保留・放置し続けたのです。この対応に対し、神社側と氏子総代会は「不当な人事介入である」と激しく反発しました。
度重なる要請が退けられた結果、富岡八幡宮は伝統ある大社として自立する道を選び、神社本庁からの離脱を決断しました。組織の独立を果たし、長子さんが正式に宮司に就任した矢先の惨劇だっただけに、神社界全体に暗い影を落とすこととなりました。