教室の精神的支柱となっているのが、江戸懐石近茶流宗家としての確固たる歴史だ。先代である柳原一成氏は、日本の伝統的な食文化を体系立てて世に広めた巨星として知られ、素材に対する慈しみと礼法の重要性を説き続けた。
その薫陶を受け、現在教壇に立つ柳原尚之氏は、伝統の厳格さを守りながらも現代的な視点を柔軟に取り入れる。父から子へと受け継がれたのは、単なる手技の形だけではない。季節を愛で、客人を思いやる懐石の精神性そのものだ。古典の教えを墨守するにとどまらず、今の時代に生きる人間が真に美味しいと感じる味覚の調和を追求する姿勢に、流派の力強い息吹が感じられる。