ネット上の情報やSNSの口コミを鵜呑みにして市場を訪れると、思わぬトラブルや落胆につながる典型的な誤解が3点あります。
第1の誤解は、「市場に行けばどんな高級魚もスーパーより圧倒的に安く買える」という思い込みです。卸売市場は本来、ロット単位(箱単位やkg単位)で取引される流通拠点です。一般客に対して1尾単位・サク単位で小分け販売する場合、仲卸側には包装資材費や人件費の手間が発生するため、必ずしも「激安」にはなりません。市場で手に入る価値の本質は、安さではなく「スーパーには絶対に出回らない圧倒的な鮮度と希少な品質」にあると認識すべきです。
第2の誤解は、「場内は歩行者優先である」という勘違いです。場内を無数に走り回る小型運搬車「ターレットトラック」や大型フォークリフトは、数百度の見切りと数トンの荷物を積んでタイムリミットに追われながら走行しています。視界の死角も多く、ターレにブレーキを踏ませる行為は市場内において重篤なマナー違反とみなされます。構内を歩行する際は周囲を常に確認し、荷役作業の動線を塞がない「完全な車両優先意識」が必須となります。
第3の誤解は、「ふらりと行っても名物食堂にすぐ入れる」という甘い見通しです。「ゑんどう寿司 本店」などの人気店は、平日であっても開店直後からインバウンド客や常連客で長蛇の列ができることが日常化しています。さらに、市場の仕入れ状況や食材の完売によって、公称の閉店時間より1時間以上早くシャッターが下りることも珍しくありません。午前中の早い時間帯に照準を絞った行動が求められます。