ボーディセーナ(Bodhisena)は、704年に南インドのバラモン(司祭階級)の家系に生まれました。幼少期から聡明で知られ、若くして出家して仏教の奥義を究めると、仏教発祥の地からヒマラヤを越えて中国(唐)へと旅立ちます。
彼が唐を目指した最大の動機は、中国山西省にある五台山(清涼山)で生身の文殊菩薩を拝すことにありました。文殊菩薩が東方の聖地に現れるという信仰に突き動かされたボーディセーナは、長安の理正院などに滞在しながら修行と講経を重ね、その学徳の高さは唐の仏教界でも広く知れ渡る存在となっていきます。
しかし、五台山を巡礼したボーディセーナは「文殊菩薩はここにはおらず、東方の島国・日本におられる」という霊告を受けたと伝えられています。この神秘的な巡り合わせが、彼の運命を極東の地・日本へと大きく傾ける契機となりました。