事故後、福島県が18歳以下の子ども約30万人を対象に実施した甲状腺超音波(エコー)検査では、数百人を超える甲状腺がんまたはその疑いが発見された。この結果は当時、被ばくによる健康被害が現実化したのではないかという激しい不安を地域社会に巻き起こした。
しかし、UNSCEARなどの国際機関は、従来の手法では見つからない微小な症状を過剰に発見してしまう「スクリーニング効果」である可能性が極めて高いと評価している。科学的には「放射線による著しい集団発がんの増加は見られない」という合意が形成されつつある。それでもなお、当事者となった若者や家族が抱える健康不安や社会的な偏見の目はいまだ完全に拭い去られてはいない。