宝塚歌劇団宙組の初代トップスターとして一時代を築いた姿月あさとが退団したのは、2000年6月のことだった。空前の宝塚ブームを牽引し、まさにスターとしての絶頂期に舞台を去った彼女が、そのわずか数か月後に発表した結婚のニュースは、当時の芸能界およびファンに大きな衝撃を与えた。
結婚相手として明かされたのは、芸能界とは無縁の世界で生きるビジネスパーソンだった。トップスターのセカンドキャリアといえば、女優業への本格転身や舞台出演が定番とされていた時代に、彼女はいち早くプライベートの幸せと新たな人生の土台を選択したのだ。この潔い決断こそが、その後の彼女のアーティストとしてのブレない軸を作ることになる。