円形脱毛症の患部において、地肌にうっすらと生えてくる非常に細く柔らかな毛は、医学的にも毛周期(ヘアサイクル)の再開を示す重要な治りかけサインです。活動期(進行期)に毛包を攻撃していたリンパ球の炎症が治まり、毛母細胞が再び分裂活動を始めた証拠といえます。
回復初期の頭皮をマイクロスコープや高精細な臨床写真で観察すると、ツルツルとして毛穴が見えにくかった頭皮表面に、わずかな毛穴の凹凸が復活し、そこから先端に向かって自然に細くなる筆のような形状の産毛が顔を出している様子が確認できます。この時期の毛はメラニン色素が薄く、肉眼では光に透かしてようやく視認できる程度の淡いトーンである点が特徴です。
また、産毛が生え始める前後に「頭皮がムズムズする」「ピリピリとしたチクチク感がある」と訴える患者は少なくありません。これは毛包内で成長を始めた新しい毛幹が毛穴の角質を押し広げて皮膚表面へ貫通する際の物理的刺激や、血流が再開することに伴う神経刺激が原因と考えられており、回復プロセスの始動を体感するサインの一つです。