三ツ星のすぐ下を注意深く凝視すると、縦に並ぶ小さな星の連なり「小三ツ星」が見えてくる。その中央付近、どこかぼんやりと滲んだように淡く光るスポットこそが、オリオン大星雲(M42)だ。
17世紀初頭、イタリアの物理学者ガリレオ・ガリレイが自作の望遠鏡を夜空に向けたとき、単なる恒星の集まりではないこの星雲の複雑な光の広がりに息を呑んだと記録されている。地球から約1,300光年という、天文学的には目と鼻の先にあるこの領域は、今まさに新しい星々が産声を上げている巨大な星形成現場である。
市販の安価な双眼鏡(倍率7倍〜10倍程度)を向けるだけでも、羽を広げた鳥のような神秘的なガス雲の輪郭が浮かび上がる。肉眼の限界を超えた深宇宙の姿をリアルタイムで網膜に焼き付ける体験は、言葉を失うほどの感動をもたらす。