希ガスとは、元素周期表の最も右側に位置する第18族元素の総称です。具体的には、原子番号順にヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)、ラドン(Rn)、そして人工合成元素であるオガネソン(Og)の7種類が該当します。
希ガスの最大の特徴は、常温・常圧で「単原子分子」として存在する点です。酸素(O₂)や窒素(N₂)のように2つの原子が結合して分子を作る一般的な気体とは異なり、希ガスは原子1個だけで独立した気体分子として振る舞います。他の原子と電子を共有したりやり取りしたりする必要がないほど、個々の原子単体でエネルギー的に満たされているためです。
また、物理的性質を見ると希ガスの沸点と融点の傾向には明確な規則性があります。希ガス原子同士の間には極めて微弱な「ファンデルワールス力」しか働かないため、全物質の中でも沸点や融点が際立って低いのが特徴です。原子番号が大きくなる(原子量が重くなる)につれて電子雲が分極しやすくなり、分子間力が強まるため、ヘリウムからラドンに向かって沸点・融点は徐々に上昇していきます。特にヘリウムは沸点が約マイナス269℃(約4.2K)と全元素の中で最も低く、絶対零度近くまで冷却しても大気圧下では凍らない唯一の物質です。