一般の立ち入りが厳しく制限されている沖ノ鳥島だが、その中心部には巨大な人工架台がそびえ立つ。これが「沖ノ鳥島観測所」だ。現在、ここには常駐する職員はおらず、すべてのデータは衛星回線を通じて本土へと送られている。しかし、過酷な塩害によって観測機器の劣化は激しく、定期的なメンテナンス部隊の派遣は欠かせない。
年に数回行われる上陸調査に同行した技術者は、その過酷さをこう語る。「周囲には遮るものが何もない。夏場は照り返しで気温が40度を超え、突発的なスコールと高波に常に警戒しなければならない。船からボートへの乗り換えすら命がけだ」。この無人の砦を守り続ける人々の執念こそが、日本の主権を物理的に支えているのだ。