軽油と灯油の違いとは?代用で起きる故障や火災と脱税の真相

軽油と灯油の違いとは?代用で起きる故障や火災と脱税の真相

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軽油と灯油の根本的な違いを理解するには、石油元売各社の製油所で行われる原油の精製プロセスに目を向ける必要があります。油田から運ばれた原油は、加熱炉で約350℃に熱せられ、蒸留塔の中で各成分の「沸点の差」を利用して分離(分留)されます。塔の上部に向かうほど温度が低く、沸点の低い成分から順に気化して取り出される構造です。

この過程において、灯油の沸点範囲はおよそ150℃から280℃、炭素数で言えば10から16程度の炭化水素が主成分となります。一方の軽油の沸点範囲はおよそ200℃から350℃であり、炭素数は15から20程度と、分子量が大きく重い留分に位置づけられます。つまり、化学的な組成として軽油は灯油よりも「粘り気があり、エネルギー密度が高い重質な油」なのです。

さらに危険性の本質を左右するのが、「引火点」と「着火点(自然発火温度)」の決定的な違いです。

「引火点」とは、液体から可燃性蒸気が発生し、マッチなどの小さな種火を近づけたときにパッと燃え広がる最低温度を指します。JIS規格において、灯油の引火点は40℃以上、軽油の引火点は45℃以上と規定されています。どちらもガソリン(マイナス40℃以下)に比べれば常温での引火危険性は低いものの、わずかな温度差によって揮発のしやすさに差が生じます。

対照的に、火種がなくても熱だけで物質が自ら燃え出す温度である「着火点」は、逆転現象が起きます。分子量が大きく炭素鎖が長い軽油は、熱によって分子結合が崩れやすいため、着火点は約250℃と比較的低温度です。これに対し、灯油の着火点は約255℃から300℃程度と軽油より高熱を必要とします。この「軽油の方が自発的に着火しやすい」という物理特性こそが、プラグによる点火を介さず、圧縮熱による自己着火を利用して動くディーゼルエンジンの根幹を支えています。

中村 さくら
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中村 さくら

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。