転換点となったのは、大手電力各社が相次いで導入したダイナミックプライシング(時間帯別変動料金制)の一般化だ。太陽光発電の出力がピークを迎える日中は電力が余剰となり、夕方以降の帰宅ラッシュ時には急激に単価が跳ね上がる。人間の感覚だけでこの乱高下に対処するのは不可能に近い。
ここで主役を演じるのが、クラウド側でリアルタイムに市場価格データを取り込む連携機能だ。翌日の気温予測と電気予報を先読みし、電気代が底値の時間帯に部屋をあらかじめ冷やし(プレクーリング)、ピークタイムには消費電力を最小限に抑えつつ設定温度を1度引き上げる。室内の人間が「暑い」と感じる一歩手前で風量を巧みに散らす微調整は、職人技というよりアルゴリズムの力業だ。我慢を強いられる昔ながらの節電は死語となり、データドリブンな自動防衛が日常のデフォルトになりつつある。