住宅メーカーの顧客アンケートやリフォーム相談窓口のデータにおいて、収納に関する不満の約4割が「ウォークインクローゼットの使い勝手の悪さ」に集中しています。取材を進めると、設計段階の思い込みと実際の生活習慣のズレによって、深刻な後悔に陥る共通パターンが浮き彫りになってきました。
最大の間違いは、「床面積の広さ=収納力」と錯覚してしまう点です。ウォークインクローゼットは人が中に入って歩くための通路(約60cm幅)を必要とするため、通常の壁面クローゼットに比べて純粋な収納有効面積が減少しやすい構造を持っています。通路部分に物を置き始めた瞬間、奥の物資へアクセスできなくなる「開かずの間」へと転落します。
さらに見過ごせないのが、心理学でいう「保有効果(Endowment Effect)」による服の滞留です。「いつか着るかもしれない」「高かったから」という執着から手放せない衣類がパイプを占拠し、新品の服が隙間に押し込まれて型崩れや湿気被害を引き起こします。空間のキャパシティ(定員)を数値で決めずに収納ケースを買い足す行為こそが、樹海化を招く元凶です。