ネット掲示板やSNS上では時折、「うさぎ島で大量の密猟が行われているのではないか」「業者が捕獲して転売している」といったセンセーショナルな噂が拡散し、炎上を巻き起こしてきました。一部の悪質な訪問者による虐待や持ち去り未遂の事案が通報された過去はあるものの、警察や環境省の合同パトロールにおいて、組織的な密猟ネットワークが島内で稼働している事実を示す公的な確証は確認されていません。
では、なぜ島のうさぎは「目に見えて減った」と言われるのでしょうか。環境省広島事務所のモニタリング調査データによると、最盛期(2017〜2018年頃)には約900〜1,000羽に達していた推定個体数は、2026年代以降に急激な落ち込みを見せ、現在では約300〜400羽前後で推移しています。半減以下となったこの劇的な減少の主因は、密猟ではなく「人為的過密の破綻」と「急激な環境変動」にあります。
パンデミック期に観光客が激減した際、過剰な観光客の給餌によって膨れ上がっていた個体群が一気に飢餓状態に陥りました。十分な栄養を得られなくなったことで繁殖率が急低下し、さらに弱った個体が病気や寒さ、カラス・猛禽類による捕食によって淘汰されたのです。現在見られる個体数の減少は、不健全に膨らみすぎた「人工的なバブル」が弾け、島が本来許容できる環境収容力(キャリング・キャパシティ)に向かって是正されている自然界の冷酷な帰結といえます。