私立高校の実質無償化がもたらした最大の地殻変動は、大阪府立高校の未曾有の定員割れと統廃合の加速です。これまで「経済的理由で公立を選ばざるを得なかった層」が一斉に私立専願へと流出したことで、公立高校の志願倍率が構造的に激減しています。
大阪府には「3年連続で定員割れし、改善の見込みがない公立高校は統廃合の対象とする」という府立学校再編整備計画の厳格な内規が存在します。制度拡充とともに私立への専願志向が高まり、2026年度から2026年度にかけて普通科中堅校を中心に定員割れを起こす府立高校が急増しました。現場のベテラン府立高校教諭は、沈痛な面持ちでこう証言します。
「文理学科を設置するトップ進学校(北野や天王寺など)には高い学力層が留まっていますが、中堅から下位の普通科高校は極めて深刻です。私立高校の手厚い進路指導や最新のICT設備、綺麗な校舎と比較され、公立が選ばれなくなっている。生徒が集まらなければ部活動も成り立たず、最終的には母校が消滅する。教育の多様性と地域コミュニティを支えてきた公立のセーフティネットが、急速に崩壊しつつある危機感を抱いています」。
ネット上の反応やSNS・知恵袋などでの評判を見ても、世論は完全に二分されています。「所得制限で長年理不尽に排除されてきた共働き中間層・高所得層がようやく救われた」「私立を選択肢に入れられるようになり、子どもの可能性が広がった」という肯定的な意見が多数を占める一方、「税金を投入して私学の経営を支え、公立を潰しているのではないか」「浮いた授業料が結局、塾代や私立の高い施設費に消えていくだけで本質的な少子化対策になっていない」といった鋭い批判や懸念も絶えません。