現在、ネットやSNS上で「若い頃の伊勢谷友介」が語られる際、美化されすぎた言説や、逆に一面的なレッテル貼りによる誤解が散見される。現場を知るメディア関係者の視点から、その主な盲点を整理したい。
第一の誤解は、「天賦のルックスだけでスカウトされ、苦労を知らずにスターになった」という俗説だ。実際には、彼は自らの容姿が消費されるだけの芸能界に強い不信感を抱いていた。2003年には自らメガホンを取り、脚本・監督を務めたインディペンデント映画『カクト』を制作。多額の負債や資金調達の苦しみを味わいながらも、作家としてのアイデンティティを守るために泥臭く奔走していた現場の事実は見落とされがちだ。
第二の誤解は、「王道の主役街道を歩み続けたエリート俳優」というイメージである。彼は民放のプライム帯連ドラの甘い恋愛劇のオファーをことごとく断り続け、是枝裕和、塚本晋也、紀里谷和明といった強烈な作家性を持つ監督の現場を選び続けた。2009年に立ち上げた「リバース・プロジェクト(REBIRTH PROJECT)」に象徴されるように、衣食住の循環型社会を目指す活動に傾倒するなど、常に既存の芸能システムの枠からはみ出そうとする異端児であり続けた。