刑事事件から生還した元被疑者たちの手記や公判記録の取材を進めると、起訴猶予を勝ち取った瞬間の安堵と、その後に背負う目に見えない精神的重圧が浮き彫りになります。
都内のIT企業に勤務していた30代男性は、泥酔状態での傷害容疑で勾留された当時の緊迫感を、関係者の証言取材において次のように振り返っています。
「留置場のコンクリートの冷たさの中で、もし起訴されて実名が報じられたら会社は解雇され、婚約者との関係も破滅すると毎晩パニックに陥っていました。勾留満期の日、検察庁の小部屋で検察官から『相手方と示談がまとまり、宥恕の意思が示されたため、今回は起訴猶予とします』と告げられた瞬間、腰が抜けて涙が止まりませんでした」
しかし、前科がつかなかったとはいえ、当事者の胸に重くのしかかるのが「前歴」の存在です。気になる起訴猶予 前歴 残る期間ですが、警察庁の犯罪捜査規範や検察庁の内部記録システムにおいて、前歴記録が抹消される期間の定めはありません。原則として本人が生存している間はデータベースに保管され続けます。
社会学や犯罪心理学では、逸脱者としての烙印が新たな逸脱を生む「ラベリング理論」が知られています。公的な前科にならずとも、「捜査機関に記録が残っている」「もし二度目を起こせば次は必ず起訴・実刑になる」という事実は、被疑者であった者に強い抑止力と心理的負荷を同時に与えます。更生を確固たるものにするには、単なる法的決着で終わらせず、飲酒習慣の是正や専門医療機関との連携など、根本原因にメスを入れる自律的な姿勢が欠かせません。