一番多い誕生日の対極に位置する「激レアな誕生日」の動向に目を向けると、現代医療が抱える構造的な実情がくっきりと浮かび上がってきます。4年に1度しか訪れない「2月29日」が物理的な絶対数として最少(約4分の1)であることは自明ですが、毎年存在する365日の中で最も少ないのは「1月1日(元日)」です。次いで1月2日、12月31日(大晦日)、11月23日(勤労感謝の日)といった国民の祝日・大型連休が下位にズラリと並びます。
なぜ祝日や年末年始に出生数が激減するのか。その決定打となっているのが、計画無痛分娩や帝王切開による日程調整です。厚生労働省の医療施設調査によると、日本国内における帝王切開率は年々上昇を続け、全分娩の約4人に1人(20%台半ば)に達しています。これに加えて、事前に陣痛促進剤を用いて出産日を決定する計画分娩の比率も都市部を中心に急増しました。
分娩管理を行う周産期母子医療センターや地域の産科クリニックでは、医師・助産師・麻酔科医の手厚い人員配置が不可欠です。したがって、計画的な処置は医療スタッフの体制が万全な平日の日中に設定されるのが原則となります。救急対応を除く「予定手術」や「誘発分娩」が休診日である年末年始や祝日に設定されることは極めて稀であり、結果として1月1日や休日の出生数は、自然陣痛による緊急分娩のみに絞り込まれることになります。カレンダーの休祝日設定が、直接的に赤ん坊の誕生日をふるい落としているのが現場のリアルです。