知恵袋やSNSなどのコミュニティでは、「無洗米に変えたら硬くてパサパサになった」「白米に比べて甘みや香りが物足りない」という書き込みが散見されます。一方で、「料亭のような炊き上がりになった」「もう普通の白米には戻れない」という絶賛の声もあり、評価が二極化しています。
取材を通じて浮き彫りになったのは、味覚の差そのものではなく「計量と水加減のミスマッチ」という構造的な問題です。家庭で生じる失敗事例の大半は、以下の物理的な違いを意識しないまま従来の白米と同じ手順で炊飯したことに起因します。
第一に、計量カップの体積差です。無洗米は肌糠がない分、カップの中に米粒同士が隙間なく詰まります。一般的な白米用計量カップ(約180ml)で無洗米をすりきり1杯すくうと、白米より約5〜8g(約5%)重くなります。そのまま内釜の目盛り通りに水を入れてしまうと、米に対して水が決定的に不足し、芯の残った硬いご飯に炊き上がってしまいます。
第二に、給水スピードの違いです。肌糠がない無洗米は、水を注いだ瞬間に米の気孔から急速に吸水が始まります。このとき十分な浸漬時間を確保せずに早炊きモードなどを多用すると、米の中心まで水分が行き渡らず、表面だけがふやけて中はパサつく原因になります。「無洗米はまずい」という俗説の正体は、品質の欠陥ではなく炊飯時の加水不足が生み出した誤解だったのです。