読者の多くが最も気にする「シャンプーで体を洗うと肌荒れや乾燥の原因になるのか」という疑問に対し、皮膚科の臨床知見から下される診断は「高確率で肌トラブルの引き金になる」というものです。シャンプーで体を洗うリスクと理由を医学的見地から紐解くと、皮膚の最外層を守る厚さわずか0.02ミリの角質層と、その上を覆う皮脂膜への破壊作用に行き着きます。
頭皮は皮脂腺の密度が全身で最も高く、Tゾーンの約2倍、腕や脚の数十倍の皮脂を分泌します。その頭皮の脂を落とすように設計されたシャンプーの洗浄力は、皮脂分泌の少ないすねや腕、腹部にとっては過剰です。洗浄中に肌の必須構成成分である細胞間脂質(セラミド)や皮脂膜へのダメージとかゆみの原因がダイレクトに発生し、入浴直後から表皮ブドウ球菌などの美肌菌バランスが崩壊して極度のインナードライを引き起こします。
さらに深刻なのが、背中ニキビや乾燥肌への影響です。背中は皮脂腺が多い一方で、自分では直接見えにくくすすぎ残しが発生しやすい部位の代表格です。シャンプーに含まれるカチオン性界面活性剤やシリコン成分が背中の毛穴に吸着・残留すると、アクネ菌やマラセチア菌の格好の温床となり、毛嚢炎や難治性のニキビを急激に悪化させます。ヘアケアのすすぎ湯が背中にかかっただけでもニキビができる人がいる中、原液を直接背中に塗り広げて洗う行為は、自ら肌トラブルを招き寄せているに等しい行為です。
加えて見落とせないのが、シャンプーで体洗うデリケートゾーンへの危険性です。デリケートゾーンの皮膚は極めて薄く、常在菌であるデーデルライン桿菌が弱酸性の環境(pH 3.8〜4.5)を保つことで雑菌の侵入を防いでいます。脱脂力が高く香料やコーティング剤を多く含んだシャンプーでこの繊細な粘膜周辺を洗うと、激しいしみるような痛みや灼熱感、常在菌叢の壊滅によるカンジダ症の発症リスクを跳ね上げることになります。