ネット上や口コミで散見される「羊の王様」にまつわる噂について、専門的な見地から誤解を正しておく必要があります。
まず多いのが、「新鮮であればどんな羊肉でも臭わない」という誤解です。鮮度の保持(チルド管理や血抜き技術)はもちろん極めて重要ですが、前述の通り、羊肉の香りは「品種」「月齢」「飼料(草か穀物か)」という生体由来のファクターに大きく左右されます。どれほど新鮮であっても、牧草のみで育った高齢マトンの野生香をゼロにすることは構造上不可能です。サフォーク種が臭わないのは、鮮度以前に品種と育てられた環境が根本から異なるためです。
また、「ラム肉は脂肪燃焼効果が高いからいくら食べても太らない」という過度な健康神話にも注意が必要です。羊肉に豊富に含まれる「L-カルニチン」は脂質代謝をサポートする必須アミノ酸であり、赤身肉としての栄養価(高タンパク・低糖質・鉄分豊富)は極めて優秀です。しかし、肉自体のカロリーや良質な脂分が存在する以上、食べ過ぎれば当然カロリーオーバーになります。「太らない魔法の肉」ではなく、「栄養効率が極めて高いスマートなタンパク源」と捉えるのが正確です。