ウェアの進化を後押ししたのは、カルチャー側の大きな地殻変動でもある。自分の体をありのままに愛し、他人の尺度に振り回されないボディポジティヴィティのムーブメントは、フィットネス産業のあり方を根底から塗り替えた。
日本においてその象徴的アイコンとなったのが渡辺直美だ。彼女が発信する自己肯定感に溢れたスタイルやファッション表現は、InstagramやYouTubeを通じて世界的な支持を獲得し、「体型に関係なく、好きな服を着て自分の人生を楽しむ」という新しい価値観を定着させた。一方で、クロスフィットトレーナーとして日本のフィットネスブームを牽引したAYAのように、強さと美しさを提示する存在も多様な美の選択肢として並立している。
「痩せていることだけが正義」だった時代は終わりを告げた。SNS上でも、ありのままの体型でジムに通う姿をシェアするクリエイターが増加し、ジムは「身体を隠しに行く場所」から「自分自身の心身をケアするポジティブな空間」へと意識がアップデートされている。