物語に登場する巨頭のモデルとして、広く知られているのが三菱重工業だ。日本の宇宙航空産業を黎明期から牽引し、基幹ロケットの開発を一手に担ってきた同社の歴史は、まさに作中の描写と鏡写しの関係にある。妥協なき品質管理、莫大な国家予算と威信を背負ったプレッシャー、そして官民の狭間で揺れる重厚な組織体制。それらすべてがリアリティをもって描かれた背景には、日本の重工業界が歩んできた泥臭い試行錯誤の歴史が存在する。
劇中で描かれた「スターダスト計画」のモデルとなったのは、実在する純国産大型ロケットの開発計画にほかならない。自前の技術だけで宇宙空間を目指すという野心は、かつて日本が海外技術への依存から脱却しようともがいた現実の軌跡と完全に一致する。膨大な部品点数を束ねるトップ企業としての重責と、失敗が許されない国家プロジェクトの重圧。その極限状態が生み出す緊迫感こそが、読者や視聴者を惹きつけてやまない原動力となっている。