広島グリーンアリーナの規模を語る際、最も誤解を生みやすいのが「キャパシティの定義」です。施設を管理する広島県の公式スペックシートによると、大アリーナの最大収容人数は10,000人(固定スタンド席約4,750席、可動スタンド席約1,800席、フロア仮設席約3,450席の合計)と公表されています。しかし、この数値をそのまま音楽ライブの動員数と捉えるのは早計です。
コンサートの現場では、メインステージや音響・照明タワー、バックヤードがアリーナフロアの3分の1から4分の1を占有します。さらに、ステージ真横や背面に位置するスタンド席は「完全な死角」となるため開放されません。舞台監督やイベンター関係者の証言によると、標準的なエンドステージ構成(片側にステージを組む配置)の場合、実際のライブ動員数は約7,000人から8,000人規模まで絞り込まれます。
センターステージ形式を採用し、360度全方位を開放する極めて稀なレイアウトでようやく約9,000〜9,500人前後に達します。「1万人規模の会場」という先入観を抱いて会場に入ると、想像以上にコンパクトでステージとの物理的距離が近いことに驚く来場者が多い理由は、この構造上のギャップにあります。