22世紀からやってきたドラえもんが取り出すひみつ道具。それは単なる便利グッズにとどまらず、人間の本質的な弱さを浮き彫りにする。失敗を繰り返し、すぐに楽な道を選ぼうとする野比のび太は、私たち現代人そのものの投影にほかならない。
完璧なヒーローではなく、落ちこぼれで弱点だらけの少年を主人公に据えたことで、物語には深い共感性が宿った。ひみつ道具を手に入れて調子に乗り、最後には手痛いしっぺ返しを喰らう――このお約束のパターンは、テクノロジーの進化に振り回される現代社会への痛烈な皮肉でもある。便利さを追求するあまり失われる人間性や努力の価値を、ギャグのオブラートに包んで描く手腕はまさに芸術的だ。