映画の終盤、エンドクレジットが流れ始めた直後に描かれる数分間こそ、1982年版『遊星からの物体X』ファンが最も息を呑む瞬間です。基地を離れていたノルウェー人ヘリパイロットのマティアスが帰還すると、基地は焼け野原となり、生存者のコーター(自殺したとみられていたが、実際には首を切断して絶命した状態で発見される)などの無残な遺体が散乱していました。
そこに突如として基地の犬小屋から1頭のハスキー犬が飛び出し、雪原を疾走します。マティアスと、生き残っていた隊員ラリー(ヘリに同乗するライフル射手)は、その犬が「物体」の擬態であることを見抜き、急いでヘリコプターを発進させ追跡を開始します。
この追走劇の行き着く先こそが、1982年版『遊星からの物体X』のファーストシーンです。ジョン・カーペンター監督版の冒頭で、アメリカ第31前哨基地の隊員マクレディ(カート・ラッセル)たちの前へ突如現れた「発狂したノルウェー人のヘリ」の正体と動機が、30年の時を経て完全に回収された瞬間でした。