振動で歯が痛い原因とは?歩行や車の揺れで響く病気の正体と受診の目安

振動で歯が痛い原因とは?歩行や車の揺れで響く病気の正体と受診の目安

振動で歯が痛い原因とは?歩行や車の揺れで響く病気の正体と受診の目安の真相について、分かりやすい解説を詳しくお届けします。

「ジョギングをしている最中、着地のたびに上の奥歯に激痛が走る」「車の運転中、道路の段差を越えると上の歯列全体がビリビリと痺れる」という場合、真っ先に疑うべき病態が上顎洞性歯痛(じょうがくどうせいしつう)です。これは、歯そのものには虫歯などの病変が一切存在しないにもかかわらず、近接する解剖学的器官の病変が原因で発生する「非歯原性歯痛(ひしげんせいしつう)」の代表格です。

頭蓋骨の頬骨の奥には、「上顎洞(じょうがくどう)」と呼ばれる親指大の空洞が存在します。この上顎洞の底面は、上顎の第1大臼歯、第2大臼歯、第2小臼歯の根の先端と極めて近接しており、骨の厚みがわずか数ミリ以下しかない部位や、人によっては歯根の先端が上顎洞粘膜を直接押し上げているケースすらあります。

風邪のアフターエフェクトやアレルギー性鼻炎、あるいは細菌感染によって副鼻腔に膿が溜まる「蓄膿症(慢性・急性副鼻腔炎)」を発症すると、上顎洞粘膜が腫脹し、洞内の気圧や液圧が急激に変化します。この圧迫刺激が、洞底の骨を介して直下を走行する「上歯槽神経(じょうしそうしんけい)」を外側から直接刺激するため、脳は「上の奥歯が痛い」という錯覚の信号を受け取ってしまうのです。

虫歯による痛みと上顎洞性歯痛を切り分けるポイントは、以下の3点に集約されます。

  • 頭部前傾テストでの増悪:靴紐を結ぶようにお辞儀をして頭を下に下げた際、あるいは階段を駆け下りた際に、患部側の上顎全体にズシンとした拍動性の重圧感が生じるか。
  • 痛みの局在性:虫歯は「この1本が痛い」とピンポイントで特定できることが多いのに対し、副鼻腔炎による歯痛は「右上の奥歯2〜3本がまとめて浮いている」「どれが痛いのか特定しづらい」という広範囲の鈍痛を呈する。
  • 耳鼻科的症状の併発:片側の鼻づまり、黄色や緑色の粘稠な鼻汁、頬骨周辺の圧痛、後鼻漏(喉に鼻水が落ちる感覚)が同時に見られるか。

日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会などの報告でも示されている通り、歯痛を主訴に歯科を受診した患者のうち、検査の結果として副鼻腔炎が真因と判明する割合は臨床現場で日常的に観察されています。もし上の奥歯だけに振動が響き、鼻の不調を伴っているならば、不要に歯を削る事態を避けるためにも耳鼻咽喉科的な視点を常に念頭に置かなければなりません。

渡辺 美咲
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渡辺 美咲

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。