かつて名門派閥・宏池会のプリンスと呼ばれ、のちに自らのグループである有隣会を率いた歴史は、自由民主党の変遷そのものを映し出す鏡だ。ハト派・リベラル保守の本流として、拙速な対立を避け、徹底した議論による調和を重んじた。
数々の派閥が離合集散を繰り返すなか、かつて有隣会に集った議員たちは口を揃える。「谷垣さんはポストの分配ではなく、政策と理念で人を束ねた」と。権謀術数が渦巻く党内において、愚直なまでの誠実さを貫いた姿勢はいま、派閥の論理に疲弊した若手・中堅議員の間でひとつの理想形として再評価されている。