キャッシュレス化の障壁となっているのは、感情論だけではない。法制度と税務上の極めてデリケートな問題が横たわっている。
宗教法人法のもとで非課税とされる宗教活動収入と、収益事業の線引きは極めて厳格だ。文化庁のガイドラインや税務当局の解釈において、通常の賽銭は「対価性のない喜捨(寄附)」として非課税扱いを受ける。しかし、民間の決済代行業者を介することで数パーセントの決済手数料が発生する取引は、純粋な寄附行為と呼べるのかという議論が長年続いてきた。
これに対し、仏教界を代表する全日本仏教会は慎重な姿勢を崩していない。決済履歴が民間のプラットフォームに残ることによる信教の自由や個人情報保護の観点、さらには宗教行為が商業プラットフォームに依存することへの倫理的疑義を呈する声明も過去に出されている。単に端末を置けば解決という単純な話ではないのだ。