最高視聴率30%超えを記録し、日本テレビの看板番組として君臨していた『伊東家の食卓』が、2007年3月に惜しまれつつレギュラー放送を終了した背景には、複数の構造的な要因が存在します。
最大の要因は、「良質な裏ワザネタの枯渇と厳格な検証基準」でした。番組に届く投稿数は毎週数万通に達していましたが、10年間の放送で主要な日常の悩みに対する解決策はあらかた網羅されていました。制作サイドは「視聴者が安全かつ確実に再現できること」「科学的根拠があること」を絶対条件として徹底的な追試を行っており、基準を満たす新規ネタの発掘が極めて困難になっていたのです。
さらに、2000年代中盤からの「インターネットと検索エンジンの普及」が決定打となりました。生活の知恵やレシピが個人のWebサイトやブログ、黎明期の動画サイトで手軽に検索できるようになり、テレビの放送を待たずとも即座に解決できる環境が整いました。視聴率が大きく崩れる前に、番組としてのクオリティとブランドを保ったまま勇退するという、制作陣とキャスト陣の一致した決断による幕引きでした。