一口かぶりついた瞬間、口いっぱいに広がる芳醇な小麦の風味がたまらない。生地のフチ(コルニチョーネ)に美しい焦げ目が躍り、外側は心地よいサクッとした食感、内部は驚くほど水分を保ったままモチモチと吸い付くような歯ごたえが残る。この唯一無二の食感こそが、店の代名詞だ。
秘密は徹底された粉の配合と、48時間に及ぶ低温長時間発酵にある。その日の気温や湿度に合わせて微調整される生地は、ナポリから特注で取り寄せた薪窯へ投入され、約450〜500度の極高熱で一気に焼き上げられる。時間はわずか60秒から90秒。職人が片時も目を離さず、パーラ(焼きコテ)を操って火の通りをコントロールする様はまさに職人技の極致と言えるだろう。