再整備の議論が進むなかで、ネット上や一部ファンの間で頻繁に語られるのが「新しく建て直すなら、日本選手権や国際大会、インカレを誘致できる四ツ池陸上競技場 日本陸連第1種公認スタジアムへ格上げすべきだ」という待望論です。静岡県西部には第1種公認施設が存在せず、エコパスタジアム(袋井市)まで足を伸ばさなければならない現状へのもどかしさが背景にあります。
結論から述べると、四ツ池の地で第1種公認を取得することは、物理的・都市計画的にほぼ不可能です。ここに一般にはあまり知られていない構造的な盲点が存在します。
日本陸連の規則上、第1種公認スタジアムとなるためには、主競技場のすぐ近傍に「全天候型400m×8レーン以上の公認サブトラック」を常設することが義務づけられています。四ツ池公園の敷地境界は、北側と東側を急峻な擁壁や住宅密集地に、西側を県道や幹線道路に完全に囲まれています。400mトラックをもう一面増設するためには、膨大な件数の民家立ち退き移転補償と大規模な造成工事が必要となり、用地買収費だけで予算が天文学的に跳ね上がります。
静岡県内にはすでに国際級の大規模大会を開催できるエコパスタジアム(第1種公認・5万人収容)が存在します。広域自治体としての重複投資を避ける観点からも、県と市が四ツ池に第1種を求める大義名分は立ちません。現実的な落としどころは「第2種公認のハイグレードな維持」であり、ウォーミングアップ用の直線走路(100m程度)や投てき練習場を限られた敷地内にいかに効率的にレイアウトするかという設計の知恵が競われています。