なぜ鈴木唯人は、激しいフィジカルコンタクトが日常茶飯事の欧州リーグでこれほど躍動できるのか。その真髄は、高校サッカーの名門・市立船橋時代に叩き込まれた走力・対人強度と、清水エスパルスで磨かれたモダンなポジショニングセンスの融合にあります。
鈴木唯人のプレースタイルを語る上で欠かせないのが、いわゆる「ハーフスペース(ピッチの左右と中央の間にある縦のレーン)」での身体の向きとターン技術です。相手DFとMFのライン間でパスを受ける際、彼はボールが足元へ届く直前で半身の体勢を作り、ファーストタッチで前を向きます。これにより、寄せてくる相手DFと接触する前にシュートやラストパスの選択肢を確保できるのです。
さらに特筆すべきは、左右両足から放たれるシュートの強烈さとパンチ力です。右足のアウトフロントで巻くシュートはもちろん、左足でも鋭い弾道のミドルシュートを撃ち込めるため、DFは寄せるコースを限定できません。ストラスブール時代に痛感した「欧州トップレベルの寄せのスピード」を逆手に取り、寄せてくる相手の逆を突くショートステップと緩急の使い分けを身につけたことが、現在の決定力爆発へと直結しています。