ゴミ人間・プペルという極めて難解なキャラクターに血肉を与えたのは、実力派俳優の窪田正孝だった。言葉すらおぼつかない生まれたての状態から、徐々に心を通わせていく繊細なグラデーション。窪田は単に声をあてるのではなく、身体全体を使ってブース内でゴミ人間のぎこちない挙動をトレースしながら収録に臨んだという。異臭を放ち、町中から煙たがられる孤独と、ルビッチへ向ける無垢な愛情のコントラストは、彼の泥臭くも澄んだ声のトーンがあってこそ結実した。
一方、少年ルビッチ役を務めた芦田愛菜の演技は、まさに圧巻の一言に尽きる。信じ抜くことの尊さと、周囲の冷笑に晒される痛切な叫び。当時まだ十代半ばだった芦田が放つ声の芯の強さは、観客の涙腺を容赦なく揺さぶった。廣田裕介監督をはじめとする演出陣が「第一声を聞いた瞬間、そこに本物のルビッチがいた」と感嘆したテイクの数々は、彼女の天性の感性と緻密な台本読解力に裏打ちされていたのだ。