「社長会は単なる親睦の場に過ぎない」――グループの広報担当者は異口同音にそう釈明する。だが、その言葉を真に受ける市場関係者は皆無だ。三菱の「金曜会」、三井の「二木会」、住友の「白水会」。毎月決まった曜日にグループ中核企業の首脳陣が集い、昼食を共にしながら交わす対話には、日本の産業界を決定づける重みがある。
ある大手商社幹部は声を潜めて明かす。「アジェンダのない雑談こそが最も危険であり、最も価値がある」。公式の取締役会では議論できないグループ全体の事業重複の整理や、敵対的買収への防衛策、果ては政界へのロビイング方針まで、この密室で暗黙の了解が形成される。法的な拘束力を持たないからこそ、外部の監査も及ばない。このインフォーマルな権力機構こそが、世紀を超えてグループを存続させてきた中枢神経である。