なぜ平和の森公園は、数ある都内の緑地を抑えてここまで人々を強烈に引きつけるのか。その核心は、商業化されたテーマパークにはない「手加減のない生身の身体体験」と「圧倒的なコストパフォーマンス」の融合にある。
デジタル機器やゲームに囲まれて育つ現代の子供たちにとって、自然の木材とロープで作られた巨大遊具によじ登り、失敗すれば池に落ちるというスリルは、自己効力感を刺激する最高のアドベンチャーとして機能している。大田区の平和の森公園は、約9万9,000平方メートルという広大な敷地の中に、大田区の史跡や名所を模した全40基もの本格フィールドアスレチックを展開。民間施設であれば数千円の利用料がかかっても不思議ではないクオリティを、区営ならではの破格の料金で提供し続けている点が、リピーターを惹きつけてやまない最大の要因だ。
一方で中野区の平和の森公園は、かつての中野刑務所跡地という歴史的背景を背負いながら、先進的な総合体育館「キリンレモンスポーツセンター」や開放感あふれる芝生広場、手ぶらBBQエリアを備えた都市型防災公園へと変貌を遂げた。アクティブに泥だらけになって遊ぶ大田区と、日常のウェルネスと地域コミュニティを支える中野区。それぞれが都市住民の異なる深層心理的ニーズを満たしている点に、この名称が持つ抗いがたい引力の正体がある。