風景がかすんで見える現象には、「霧」や「靄」のほかに「霞(かすみ)」「煙霧(えんむ)」があります。これらが混同される背景には、日常語としての曖昧さと気象学的な厳密さの乖離が存在します。
まず「霞」は、気象庁の公式予報用語には存在しません。古くから和歌や俳句の世界で使われてきた情景描写であり、春に遠くの景色がぼんやりと霞む様子を指す春の季語です(秋の同様の現象は「霧」として詠まれます)。現象の正体としては霧や靄、あるいは黄砂などの微粒子が混ざり合った状態を情緒的に表現した言葉といえます。
一方、「煙霧」は水滴ではなく、黄砂、工場のばい煙、森林火災の煙、火山灰、PM2.5などの乾いた微粒子が大気中に浮遊している状態を指します。湿度が比較的低く(一般に75%未満)、空全体が白っぽく、あるいは黄色や茶褐色にくすんで見える点が特徴です。アレルギー症状や呼吸器への影響を及ぼすリスクがあるため、大気汚染情報や黄砂情報と密接に連動して監視されています。