スマートフォンの画面を指で素早くスクロールする現代人の集中力は、わずか数秒しか持たない。InstagramやTikTokのフィードを埋め尽くす高画質な料理写真に対して、ユーザーは無意識のうちに「見慣れた広告」としてスルーする耐性を身につけてしまった。そこに登場したのが、強烈な個性を放つグラフィック表現だ。
「写真は何でも完璧に綺麗に修正できてしまう。だからこそ、人間が描いた線の揺らぎや絵の具の厚み、線の太さに宿る『体温』のようなものに惹かれるんです」。渋谷区でZ世代向けグルメメディアを運営する編集者、高橋まゆこ氏は語る。実際に、レトロなアメリカンコミック風のタッチや、日本の昭和レトロを感じさせるポップな装飾イラストをあしらった店舗の来店率は、従来の写真のみの広告に比べて約1.4倍に跳ね上がっているというデータもある。