聖徳記念絵画館を訪れるにあたって、ネット上などで混同されがちな盲点がいくつか存在します。その最たるものが「明治神宮の内苑(原宿・代々木側)にある施設と勘違いする」というケースです。絵画館が位置するのは明治神宮外苑であり、最寄り駅もJR信濃町駅、東京メトロ外苑前駅、青山一丁目駅となります。原宿の本殿周辺からは徒歩で25〜30分ほど離れているため、ルート設計には事前の把握が欠かせません。
また、自家用車で訪れる場合の絵画館前駐車場の存在も重要なポイントです。絵画館の目の前には約396台を収容可能な広大な平面駐車場が広がっており、都心部としては破格の収容力を誇ります。ただし、神宮球場でプロ野球の試合が開催される日や学生野球のシーズン、明治神宮外苑のイベント期間中は満車になりやすく、周辺道路が激しく混雑します。美術鑑賞を主目的とするならば、平日の午前中か公共交通機関の利用が無難です。
そして現在、この絵画館を取り巻く環境として避けて通れないのが神宮外苑再開発を巡る議論です。明治神宮外苑は、大正時代に造園家・折下吉延らによって精密な都市計画に基づいて設計されました。青山通りから絵画館へとまっすぐに伸びるイチョウ並木は、絵画館のドームを中央に据える景観軸(アイストップ・ビスタライン)として計算し尽くされたものです。
神宮球場や秩父宮ラグビー場の建て替え、超高層ビルの建設に伴う樹木伐採への懸念が広がる中、東京都の審議会や事業者側の計画見直しにおいても、「絵画館へのビスタライン(見通し景観)をいかに死守するか」が最重要命題として繰り返し議論されています。大正期の人々が100年後の未来を見据えて築いたこの景観軸と絵画館の存在は、単なる一建造物を超え、東京という都市の歴史的アイデンティティそのものを問いかける象徴となっているのです。