すべては大阪のうらぶれたスタジオの片隅で始まった。当時、ストリートとクラブカルチャーが混沌と混ざり合う関西のアンダーグラウンドで、EGO-WRAPPIN'のふたりが鳴らしたのは、時代のメインストリームとは対極にあるアコースティックでスモーキーな響きだった。関係者が明かすところによれば、レコーディング現場では整音された綺麗さよりも、マイクが拾う生々しいブレスや指が弦を擦るノイズそのものが意図して残されたという。
歌詞に描かれた情景には、単なる失恋ソングでは片付けられない「都市の孤独」と「退廃的なエロティシズム」という裏設定が張り巡らされている。行き場を失った感情が夜のネオンに溶けていく描写は、言葉の端々に潜む狂気と紙一重だ。最新のライブ音源に耳を澄ませば、研ぎ澄まされた即興演奏とともに、原曲以上に重層的な陰影を帯びたパフォーマンスが展開されていることがわかる。初期の衝動が円熟した表現力と衝突し、楽曲は今まさに第二のピークを迎えている。