今作のトーンを決定づけた影の立役者として、映画監督の是枝裕和が提示してきたリアリズムの手法を無視することはできない。劇中に漂う静謐な空気感や、子どもたちの自然な表情を引き出す演出アプローチには、是枝作品に通底する鋭敏な人間観察が息づいている。
さらに、名優リリー・フランキーの存在感が作品に比類なき奥行きを与えた。善と悪、情けなさと包容力の間を漂うその佇まいは、日本のテレビドラマ史においても特筆すべき名演と言っていい。彼が発する掠れた声の一言が、シーン全体の空気を一変させてしまうほどの引力を持っている。