作詞・作曲を担当した佐々木収が紡ぎ出した『ESCAPE』の歌詞の意味には、当時の社会情勢や思春期特有の心理的葛藤が色濃く反映されています。
サビで高らかに歌われるフレーズは、日常のルーティンに縛られ、自分を見失いそうになっているすべての人々に対する宣戦布告とも取れる力強さを持っています。「ここではないどこかへ抜け出したい」という衝動は、心理学でいうところの「心理的リアクタンス(自由を制限されたときにそれを取り戻そうとする欲求)」をダイレクトに刺激するものです。
当時のインタビューや本人の回想によると、楽曲制作時はドラマのプロットを念頭に置きつつも、メジャーシーンで戦うバンド自身の焦燥感や「現状を突き破りたい」というハングリー精神がリアルに注入されたと明かされています。単なる逃避ではなく、「未来を自分の手で選び取るための能動的な脱出」というポジティブなメッセージが込められていたからこそ、リスナーの胸を激しく打ったのです。
1997年当時の日本は、バブル崩壊後の長いトンネルの中にあり、世紀末特有の不安感が漂っていました。そうした時代背景において、ドラマ『FiVE』の少女たちが体制に抗いながら走る姿と『ESCAPE』のメッセージは、若者たちが抱える言葉にできないモヤモヤを解消する決定打となりました。